視野を広げてくれたおすすめ本10選【現状を変える読書体験】

仕事や人生で行きづまりを感じて「視野を広げたい」「もっと違う可能性を探したい」と思うときがあります。そのように現状を変えたいときは、旅に出て日常とは違う世界を体験するのもひとつの方法です。

しかし、ある程度の時間とお金が必要になるので、簡単に視野を広げるには本を読むのが1番でしょう。本は1,500円程度の価格にも関わらず、著者がつちかった視点をのぞき見ることができるからです。しかも、好きなときに好きな場所で読めます。

本記事では僕の過去10年で1,000冊以上の読書経験のなかから、視野を広げてくれたと感じたおすすめの10冊をご紹介していきます。正直、読みやすい本ばかりではないのですが、それでも読みたくなる魅力のある本を選びました。気になるものがあれば、ぜひ手にとってみてください。

時代を書きかえる頭の中とは

ポール グレアム (著), Paul Graham (原著), 川合 史朗 (翻訳)

デジタル化の流れによって、音楽・電話・カメラなど場所をとって当たり前だったものが、スマホ1台で完結するようになりました。今後もVR/ARなどますます勢いを増していくはずです。

どんな画期的なシステムもプログラムによって動いています。なので、ある意味プログラマーによって、世界が書きかえられていると言ってもいいすぎではないでしょう。

プログラマーにはハッカーと呼ばれる人たちがいます。

日本ではハッカーは悪者あつかいされることが多いのですが、実際はそうではありません。高い技術力と型にはまらない想像力を武器に、魔法の様にプログラミング言語を操る人たちのことです。

本書では、そんなハッカーの頭の中をのぞけます。明快な文章で、コンピューターの知識がなくても読める名著です。

»ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

ヒッピーたちの精神的指導者の思想

鈴木俊隆 (著), 松永太郎 (翻訳)

世界のITの中心地といえば、アメリカのシリコンバレーです。シリコンバレーがあるサンフランシスコでは、GoogleやAppleなどの世界的企業が誕生しました。

ですが、その文化の根底には大量生産・大量消費社会を否定した、ヒッピー文化があるということはあまり知られていません。

本書は1959年に日本からアメリカへ渡り、ヒッピーたちに禅の精神を伝えた鈴木俊隆の講話を弟子がまとめたものです。蛍光マーカーを引きながら読んでいたら、ほとんどのページが蛍光色で埋まってしまいました。

新書版や電子書籍もあるのですが、おすすめは装丁がしっかりしている単行本です。上記のような読み方にも耐えられますし、途中に隠されている「ある」仕掛けをもっとも効果的に体験できます。

»禅マインドビギナーズ・マインド

クリエイティブな体になる方法

ジョン J. レイティ (著), エリック ヘイガーマン (著)

運動をはじめるのは面倒ですが、汗を流したあとは気分がスッキリするのを感じたことがあると思います。

本書では運動にはうつやADHDなどさまざまな症状の改善や、頭をよくする効果があることを科学的に証明しています。

脳内物質の影響かはわかりませんが、僕が実感した運動の効果として、目に見えて肌がキレイになるということがおきました。また、単純に体力がつくと仕事のパフォーマンスが上がります。

「そろそろ本気で運動を習慣にするぞ!」という決意を後押ししてくれる名著です。

»脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方

気分転換になる一冊

水野 敬也 (著), 小林 昌平 (著), 山本 周嗣 (著)

日々作業に没頭していると、どうしても視野が狭くなってしまうのを感じます。そんな時に読んでみると、頭の体操になり思考の柔軟性を取り戻せるような本です。

ウケるパターンが実例とともにわかりやすくまとまっていて、読んでいるだけで笑えます。

ウケる技術を本気で学ぶというよりは、息抜きのためにそばに置いておきたい一冊ですね。

»ウケる技術

現実を見つめる力を鍛える

リチャード・ドーキンス (著), 日高 敏隆 (翻訳)

本書は「人はなぜ存在するのか?」という疑問に対して、「ただ、遺伝子が生き残るためだ。」という明快な答えをくれます。

さすがに40年前に書かれた本だけあって、いまでは普通の考えになっている部分もあります。

ただ、ドーキンスが発見した、遺伝子に似た働らきをする文化的伝達単位「ミーム」はいまだに新鮮な考えだと思います。少し難しい内容なのですが、現在の情報化社会を見るうえでの視野を広げられるでしょう。

神や魂というスピリチュアルにとらわれずに、冷静に現実を見る目を養うことができるようになる素晴らしい本です。

»利己的な遺伝子 40周年記念版

情報デザインの古典的名著

著者のリチャード・S・ワーマンは、いまや世界中で開催されるようになったカンファレンス「TED」の創設者です。

もう絶版になっていて、アマゾンではプレミア価格になっていますが、ぜひとも手に入れていただきたい一冊です。

情報について書かれた本の内容は古くなるのも早いのですが、この本は2007年に発行されたにもかかわらず、いまだに新鮮さは失われていません。なぜなら、本質が書かれているからです。

現代では「情報を正しく理解して、編集して伝える」という情報のデザインはますます重要なスキルになっています。

確かに価格は高いのですが、その他の水で薄めたような本をたくさん読むよりも、ガツンと一冊濃い内容を読んだほうがお得だと思います。

»それは「情報」ではない。―無情報爆発時代を生き抜くためのコミュニケーション・デザイン

退屈な日々を楽しさに満ちた生活に変える

M. チクセントミハイ (著)

アメリカでもっとも注目されている心理学者である著者が、20年ほどの研究成果を一般向けにまとめた本です。

幸福なんて蜃気楼(しんきろう)のようなもの。いくら目指してもたどり着くことはありません。もし幸福と呼べるものがあるとすれば、心理的エネルギーを統制し、日々の活動をフローに導いたときの状態だと教えてくれます。

日常にフローを取り入れることができれば、幸福度は間違いなく上がるでしょう。自分の行動に対する見方をガラッと変えてしまう名著です。

»フロー体験 喜びの現象学

自分のなかの宇宙を知る本

科学の本というと難解なものが多くて眠くなってしまいがちです。ですが、本書は著者が高校で行った講義をまとめたものなのでわかりやすくなっています。

脳の機能についてはもちろん、「正しさとは」「生命とは」「自由意志とは」などの哲学的な題材にも切り込んでいるところがこの本の面白いところです。

普段は意識しませんが、僕たちが見ている世界はすべて脳でつくられています。脳で認識して、脳で思考して、脳の命令で行動しているわけです。なのに、その機能について知ってる人は多くありません。

読んでみると「なるほど。あれは脳のそういう特性だったのか。」と納得するところが多く出てくるはずです。眠くなるどころか、興奮して寝つけなくなるような良書です。

»単純な脳、複雑な「私」

東洋と西洋のコントラストとは

オイゲン・ヘリゲル (著), 稲富 栄次郎 (翻訳)

伝説の弓道家に弟子入りした、ドイツ人哲学者によって書かれた本です。禅の精神が流れる東洋的な思想と、西洋的な論理思考がぶつかりあっています。

それによって、両方の特色をよりはっきりと見てとることができる名著です。

「無心になってしまったら、誰が矢を放つのか」というドイツ人哲学者の問いに対して、「”それ”が射るのです」「“それ”が満を持しているのです。」というように、言葉にできないなにかを伝える師匠。

やがてドイツ人哲学者は、言葉や論理では到達することができない境地を知ることになります。

Apple創業者のスティーブジョブズの発言で「抽象的思考や論理的分析よりも、直感的な理解や意識の方が重要だと気づいたんだ。」というものがあります。本書を読めば、その言葉の意味にふれることができるはずです

»弓と禅

黒人カルチャーの成りたち

学生時代にクラブミュージックにハマっていたこともあり、日本の有名DJが推薦してたので読み始めた一冊です。

なんと500ページにもおよぶ大作で辞書のような見た目の本なのですが、おすすめしていた有名DJはまるでバイブルのように紙の書籍を持ち歩いていました。

主にシカゴ・ハウス、デトロイト・テクノという音楽の成り立ちにフォーカスしています。あまりなじみのない音楽だと思いますが、これらの音楽がジャズやファンクと同じで、黒人をルーツとしている音楽だと知ることができます。

そして、黒人達が受けていた差別や迫害による抑圧されたエネルギーが、どのようにしてカルチャーを築きあげていくのか。その過程から学べることは多いはずです。

»ブラックマシンミュージック ディスコ、ハウス、デトロイトテクノ

最後に:本とは出会うもの

今回記事では視野が広がるようなおすすめ本を、さまざまな角度からご紹介してきました。気に入った本はあったでしょうか?

本は不思議なもので、なにげなく手にとった一冊に現状を打破する一言が書いてあることがよくあります。直感的に反応するものがあったのなら、ぜひ読んでみてください。

また、電子書籍はスマホで読むのもいいのですが、通知や他のアプリに気を取られてしまいがちです。やはりKindleの専用端末で読むほうが段違いに集中できます。おすすめは下記のモデルです。

それでは、よい読書ライフをお送りください。